【幡にふれる】手績み・手織り麻を味わう

幡にふれる

井上企画・幡の広報担当が、ものづくりや商品企画の裏側をお見せします。

私たちが会社設立の頃から34年間作り続けてきたのが、日本の色を麻生地に写したテーブルウェア。
井上企画・幡の原点ともいえる製品です。

麻のテーブルマットを使った華やかなテーブルコーディネート

テーブルウェアに使用している麻の生地、実は種類があります。

まず、井上企画・幡が扱っている麻素材は、苧麻(ラミー)と亜麻(リネン)に分かれます。さらに苧麻は主に2種類の生地があります。

名称は社内で使っている言葉で表記しています。

そのひとつ、昔ながらの手績み・手織り麻の生地。わたしたちは『旧製生平(きゅうせいきびら)』と呼んでいます。績むとは、麻の繊維を細く裂き、繊維と繊維をひとつひとつ手作業で繋いでいくこと。そうしてできた糸を、これまた手作業で織り上げていく。気の遠くなるような地道な作業を繰り返すことで生地が出来上がります。


手織りの様子

日本における麻織物の歴史は1200年にもおよび、正倉院の宝庫には麻で作られた優品が数多く伝えられています。奈良は江戸時代前期、麻織物「奈良晒」の産地として最盛期を迎えましたが、その後衰退しました。現在残った手織り麻の生産国は、ほぼ中国。幡が取り扱っている手織り麻も中国の江西省で織りあげられたもので、大変希少な生地です。


触らずとも見た目から分かる生地表面の凸凹

旧製生平の生地の表面を近くでじーっと見つめてみる。ところどころ、ぼこっとかたまりのような節があります。繊維がぴょこっと飛び出していることも。
初めて見るお客様からは「不良品じゃあないの?」と言われることもしばしば。

飛び出した糸は気になるようでしたら切っても大丈夫です。

しかし、これこそが手績み・手織り麻の特徴であり、味でもあるのです。この節によって、表面に陰影と立体感が生まれ、奥行きを感じます。
入社からこれまで18年間生地を扱ってきた担当者も、旧製生平は手仕事ならではの素朴さが魅力と語ります。糸1本1本が個性のままに、表情豊かでおもしろい。また、染めによって控えめな光沢が生まれ、天然素材の優しさの中にも凛とした気品を感じます。


無地であっても生地感がユニークな印象を与えてくれます。

そんな魅力の詰まった旧製生平は、現在中国でも生産者不足が進み、その希少価値から年々値上がりを続けています。色麻テーブルウェアのシリーズも今期から値上げに踏み切り、カラーラインナップを厳選。より食卓に馴染み、日本の美を感じられる8色を選びました。

さて。8色から、どう選ぼう?

迷われる方は多いかもしれません。
商品企画の担当者に聞いてみると、ぜひ試してほしいのが、爽やかな藍系統の色にはガラスの器ではなく、あえて土ものの器と併せる奥行きのあるテーブルコーディネート。


もうひとつ、おすすめがこちら。

都会の女性が憧れる田舎暮らしを意識した色合いのコーディネート。深みのある色を重ねると、麻はモダンでシャビーシックな雰囲気にも馴染みます。
ぜひ、手績み・手織り麻の風合いに、器やカトラリーでいろんな質感を重ねて愉しんでみてください。

次回、もう一つの苧麻の生地『半手紡(はんてぼう)』を使った商品を紹介します。

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