こよみと暮らす 第八回『小暑』

こよみと暮らす
こよみと暮らす 第八回 小暑
ついこのあいだまで市街地の公園や庭先で、大きな玉のように花を開いていた紫陽花は、そろそろ夏の花に主役を譲ろうとしています。時間をかけて少しずつ枯れていく姿も美しいものですが、少し涼しい山あいの地域に入ると、まだ自生の紫陽花の生き生きした様子を楽しむことができるところも。
こよみと暮らす 第八回 小暑
『こあじさい』宇陀市榛原町赤埴Photo 井上博道
今回紹介した写真は、奈良県宇陀市で撮影されたもの。木々のしっとりとした空気のなかに咲いているのはコアジサイという品種で、花の部分は5cmほど。ということは、ちょうど両手に包み込めるくらいのサイズでしょうか。小さな花の集まりがどことなく、星が瞬いているイメージにも重なってかわいらしい。

小さいものは、なんでも愛おしく感じる。という人の心情は、枕草子の時代から変わらないもの。奈良公園では夏のはじめに、今年生まれたばかりの子鹿の愛らしい姿を見かけることがあります。
7月初めのこのころ、二十四節気では小暑です。暑さもまだ小さくかわいいうちは、夏の訪れを新鮮に感じられるでしょうか。

暑中見舞いを出すなら、この小暑から立秋の前日まで、およそ1ヶ月の間に。人からの手紙は、いつ受け取ってもうれしいものですが、年賀状のようにまとめて出すものではないからこそ、受け取る側も一通一通ゆっくり目を通すことができます。

しばらく会っていない人へ便りを出すのに、言葉が思い浮かばないときは身近な自然の話題を添えて。スイカやかき氷など、目から涼を取り込める絵柄の葉書を選ぶのもいいかもしれません。
目や肌触りから、涼しさを。そんな夏の服装に合わせたいのが、今回紹介する「ざっくり麻」のバッグシリーズです。

その名前の通り、苧麻(ラミー)をざっくり織り上げた生地を、撥水性のある布地で半分覆うようにして仕立てたバッグ。持ち手のところには牛皮を使っているので、強度だけでなく、印象もきちんとして見え用途が広がります。

また、この下半分の生地部分が実はポケットを兼ねていて、パスケースなどを入れておくのにちょうどいい。同時に中身が見えたり隙間から物が落ちたり、底が擦れて傷みやすいという、かご系バッグのウィークポイントをさりげなくカバーしてくれる心強さも。
飲み物に羽織もの、折り畳み傘にタオルと、意外と荷物が多くなってしまう梅雨と夏の間の季節。マチがついたタイプは特に収納力があるので、出先で少し荷物が増えてしまっても大丈夫。留め具が持ち出しになっているので、中身が膨らんでも上部を留めることができます。

さらに、マチ部分がしっかりと底になるので、置いたときも美しく自立します。ファッションアイテムであると同時に、暮らしの道具でもあるバッグ。長く愛着を持って使えるよう、小さな工夫をたくさん盛り込みました。
今年は、夏らしいホワイトに加えて、ちょっと引き締まった印象のブラックも新たに仲間に加わりました。さまざまな年代の方で共用できるのはもちろんですが、ブラックは特に、男性の装いにも自然と馴染むと思います。

日々の暮らしや仕事など、使うシーンを想像しながら形や色を選んでみてください。
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