アップサイクルが形になるまで

商品を語る
 

Original upcycle collection

今春に登場した新コレクション[marrow メロウ]シリーズは、BAN INOUEのアップサイクルコレクション。
メロウとは何か? どんな取り組みなの? などなど
企画目線で すこし掘り下げてお伝えしたいと思います。

まずは、コレクション名となったmarrow メロウとは。

「骨髄・真髄・核心」という意味の英単語です。アップサイクルは、私たちにとってもはじめての取り組み。BAN INOUEのものづくりの中で、今後「核」の1つとなり 長く愛されるようなものを作りたい。という目標を表しています。

はじまりは3年前、
蚊帳のリサイクルを実現する、という前代表 井上千鶴の言葉。

―モノづくりの関係者として、製造した商品をお客様が楽しんでお使い頂き、最終的にそれがどのように処理されるのか、理解していただけるシステムを作るべきだと考えます。
社会自体もそのような方策が、まだ整っていないのが現実です。
しかし私たちのような小さな企業がこの問題をどう考えたら良いのか、
出来る限りのことを少しずつでも前に向かって進めていかなければなりません。

ものづくりをする上で やむを得ず出来てしまう、余り布。
それを何かに使えないかという考えは、12年前の 蚊帳の日常着 発売時からの常々の課題でした。大きな面積が残るのものは生活雑貨を作るのに活用していましたが、シーズン毎の色や量の偏りにより、安定的な供給に難航していました。
リサーチを重ねるうち、「反毛(はんもう)」という加工技術にたどり着きました。
反毛とは、はぎれを棘のついたローラー状の機械で掻き、もう一度ワタ状にして糸の原料をつくる技術のこと。

BAN INOUEの蚊帳の余り布を反毛し、新たな糸の原料とすることができないか。
繊維の工場に足を運び、糸の配合や太さ・形状を細かく調整。何度も試作を重ね、ふっくらとしたmarrowの生地が出来上がりました。

反毛し 糸になる前の蚊帳のワタ

 

織り上がった生地「ダーク」カラー


開発にあたっての大きなこだわりは2つ。
1つめは、綿100%でつくること。製品自体にも付属品は極力使用していません。marrowコレクション自体も将来の資源になる様、企画段階から無駄の少ないものづくりを考えています。

2つめは、色とりどりの蚊帳の美しさが残る様、もとの色を活かした糸づくりをすること。
目を凝らしてみれば、藤・桜・青磁・・・と蚊帳の彩りを見ることができます。
これは、蚊帳を資源として活用したからこそで、他には真似出来ないもの。
また、余り布を色毎に仕分けし 混入物を取り除くのはすべて手作業。色の混率バランスにもこだわっています。(marrowテキスタイルの5色にはそれぞれ違う色の蚊帳が入っているので、ぜひ注目してください!)

BAN INOUEの直営店(Lier幡・東大寺店・生駒店)では、お客さまが着古した蚊帳の日常着を回収しています。今後は、古着の蚊帳も同様に反毛して、アップサイクルしていきます。
お手元にある蚊帳の日常着が、新たな姿となって戻ってくる日も遠い未来ではありません。
ここまで、繊維関係の先生や紡績・織物工場さんなど、沢山の方の協力がありました。

沢山の方の時間と心をかけて出来上がった「marrow」。
これからは、服がどうやってつくられた迄がファッションである という時代。
皆さまに長く愛されるシリーズとなれるよう頑張ります。今後の企画にもご期待ください。


●marrowコレクション一覧はちら

一部コラボレーションしたデザイナー、アナイスゲイリーについても書きました。こちらからご覧ください。

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