こよみと暮らす

こよみと暮らす 第二回『清明』

するすると滑らかな水の流れが、草を湿らせて下っていく。やがて吉野川に注ぐこの水流は、「象(さき)の小川」と呼ばれ、万葉の歌人も歌に詠んだとか。さて、季節は春。二十四節気では清明です。その意味を紐解いてみると、「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とあります。つまりは、自然界のものたちが春先の清らかな空気のなかで、生き生きと活動してはじめる季節。たしかに、野の花や草もピンとみずみずしくなって、タンポポ、菜の花、目に飛び込んでくる色の種類も豊富になってきました。...
こよみと暮らす

こよみと暮らす 第一回『春分』

奈良県・宇陀市。大きな山を背景に、大きく枝垂れて咲く桜。鮮やかな桃の並木のなか一本でひときわ存在感を示すこの桜は、樹齢約300年。この地にゆかりの戦国武将から「又兵衛桜」と名付けられています。そんな歴史背景を知るとなおさら、石垣の舞台から乗り出すように咲くその姿に、なんだか芝居のクライマックシーンのような迫力を感じます。そんな春の一場面。撮影したのは、井上企画・幡の創業者である、写真家の井上博道(はくどう)です。 ...
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