こよみと暮らす 第六回『芒種』

こよみと暮らす 第六回 芒種
こよみと暮らす 第六回 芒種
『ヒメレンゲと清流』奈良県吉野郡川上村武木川 Photo 井上博道
岩の間を勢いよく流れる川の水、その中ほどに見えるのは、五つの花弁が星のように見えるヒメレンゲの可憐な花。カメラがシャッターを切るわずかな間に、あっという間に目の前を通り過ぎていく水の姿と、じっと止まっている植物。その動と静の対比を切り取った一枚です。

しっとりと濡れている苔は、それこそずっと同じ場所で、風や川の流れを見送り続けてきたのかもしれません。
さて、季節は6月です。今年の奈良は例年より早く梅雨入りしました。

春の訪れを一番に知らせてくれた梅の木には、青々とした実がなっている。スーパーの入り口近くにも梅の実や保存瓶が並ぶころ。お酒や砂糖と一緒に漬け込んだ梅が少しずつ液体のなかに沈んでいく。いつか梅酒を味わう日を想像しながら、経過を見守るのも梅仕事のよろこびです。

しとしとと雨が降り続くこの時期は、草も木も雨粒を受けて、いつもより色濃く見えるころ。まちなかの小川や用水も雨水で流れが増すなか、人や植物は、じっと雨が止むのを待っている。

傘のなかで小さくなって歩くことも増えますが、少し視線を上げると自然のなかにはいろんな発見がある。そのヒントになるのがこよみなのかもしれません。
この時期、二十四節気では芒種(ぼうしゅ)にあたります。芒という字、日常ではなかなか目にしない漢字ですが、訓読みでは「のぎ」と読み、米や麦などの穂先にあるトゲ状の突起を意味します。

芒種というのはつまり、それらの種を植えるのに適した季節という意味らしいのですが、実際の農業では、この時期には田植えを済ませてしまっている地域が多い。

とはいえたしかに、最近、近所の草むらにも、この芒を持つ麦のような雑草をよく見かけます。紡錘形の小さな実が、ハの字の形に連なる麦の穂。

今回紹介するのは、ちょっとその姿にも似た、トリコットという模様のシリーズです。
トリコットというのは、フランス語で編み物を指す言葉。ニットの糸目が縦に連なる様子を模様にして、麻生地にプリントしました。

濃淡のバランスをつけた小さな点のつながりが生地の陰影のようになって、平らな麻生地でありながら、ざっくり編んだ素材にも見える。

ブルーの生地は、遠目にみるとほんのり水色の無地に見えるのですが、水色一色で薄く染めた生地よりも、色の印象がさわやかに冴えて見える。絵画の点描技法のような効果なのかもしれません。

ブラック、ホワイト、ゴールドにブルー、どれもベーシックな印象の色味なので、日常使いのバッグはいろんな場面で活躍しそうです。

持ち手の部分に、竹やロープの素材を使ったものは、ちょうどこれからの装いに爽やかな印象をプラス。内側には、裏地とポケット、口を閉じるためのマグネットがちゃんと付いているので、実用面も安心です。

傘などの持ち物が増えるこの時期、バッグのさりげない機能が、出先での気持ちにゆとりをもたせてくれます。

持ちもので人の印象が変わるというのは、デザイン性だけでなく、使いやすさからくる所作のことでもあるのかもしれません。

幡の雑貨はどれも、あるべき機能を省かず丁寧に企画しています。使ってみると、その安心感に頷いていただけるはずです。

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