こよみと暮らす 第二十一回『立春』

こよみと暮らす
こよみと暮らす 第二十一回 立春
冬の終わりから花をつけはじめる梅は、別名、春告草といいます。

奈良時代に中国からもたらされ、広く親しまれるようになった梅の花。「お花見」というと桜をイメージすることが多いですが、もともと万葉集などに詠まれた「花」という言葉は梅を指したものです。

五月川を望む山肌に1万本以上の梅の木が見られる「月ヶ瀬梅渓」をはじめ、奈良には梅の名所が多くあります。たくさんの花が咲き乱れる姿は見事なものですが、まだ寒い季節、垣からのぞく小さな梅にも心惹かれるものがあります。
こよみと暮らす 第二十一回 立春
『白梅 露』奈良県奈良市川上町飯守 Photo 井上博道
幡の本社がある川上町の周辺や、直営店の庭先でも、ふいに梅の香りが鼻に届くことがあります。そこにまた一歩、春が近づいているのを感じます。

節分を過ぎれば、季節は春。二十四節気では立春を迎えます。冬至と春分のちょうど真ん中に当たる春のはじまりは、もともと一年のはじまりとされる日でもありました。

暦はいつも、人が肌に感じるよりも先に、季節の巡りを教えてくれる。

みぞれまじりの雪や冷たい風に、分厚いコートが手放せない日が続きますが、たしかに春は来ています。日中の明るい時間も少しずつ長くなりました。

冬に地面を覆っていた落ち葉は、いつの間にか土に還り、その下から新しい芽が顔をだす準備をしています。

梅の花が咲くころ、その蜜を求めてやってくるのがメジロです。愛嬌のある目元に、春先の草にも似た明るい色の羽。その鮮やかな色を指してウグイス色と呼ばれることもありますが、本物のウグイスの羽色はもう少し茶色がかった色味です。

人に慣れやすいメジロとは違い、警戒心の強いウグイスは人が近づくと飛び去ってしまうため、姿を見るのはなかなか難しい。

その鳴き声が春を知らせることから、春告鳥と呼ばれるウグイス。あたたかくなるのが待ち遠しい今日この頃ですが、焦らずゆっくり、その声が聞こえるのを待ってみたいと思います。

春に備えて、少しずつ明るい色を紹介していきましょう。幡のかやシリーズから、花にちなんだ色を2つ、まずは「桜」から。
白にうっすら赤みが差したような、柔らかな色。ソメイヨシノを思わせる桜色は、洋服から、タオルなどの日用品まで、いろんなシーンで使いやすい色味です。

幡ではギフトラッピングサービスのひとつとして、この「桜」の色のかや生地を使った、「かや包装」もご用意しています。

もうひとつは「ぼたん」。4月ごろ大輪の花を咲かせる牡丹に由来する色です。
ほのかに紫がかった、濃いピンク色は、幡のカラーバリエーションのなかでもひときわ目を引く色みですが、かや生地の柔らかな風合いにのせると、派手すぎず丁度いい華やかさ。

コーディネートの主役としても映えますが、ショールなどのアイテムで差し色として使うのもおすすめです。

これから来る春、重宝するのが大判ショールです。首元を温めたり、肩から羽織ったり、気温が変わりやすい季節に欠かせないアイテム。桜とぼたんの2色をリバーシブルで合わせたものもあります。

梅の花が咲きはじめたら、そろそろ、春の支度を始めてみませんか。
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