こよみと暮らす 第十回『立秋』

こよみと暮らす
こよみと暮らす 第十回 立秋
早起きは三文の徳。暑い季節は特にそうかもしれません。

まだ涼しく静かな朝方のうちに、体を動かしたり、仕事をはじめたりしておけば暑さの厳しい昼下がりには、ちょうどひと休みできる。子どものころはよく、夏休みの宿題は午前中に、と言われたものです。
こよみと暮らす 第十回 立秋
『蓮』奈良県御所市 掖上Photo 井上博道
夏の朝の特別な時間。蓮の花は夜明けとともに開きます。一枚一枚、ゆっくりと花びらが開いていき、中から黄色いオシベと花托が見えてくる。午後には花を閉じてしまうため、寝坊していてはお目にかかれません。

泥のなかからまっすぐに伸びる、楚々とした姿。インド原産で仏教にもゆかりの深い花です。唐招提寺など、奈良にも蓮の名所がいくつかあります。

幡の創業者である写真家の井上博道は、自然のモチーフのなかでもとりわけ蓮の花を好んだのか、早朝から撮影に出かけていき多くの写真を遺しています。DMのはがきなどで、その一部をご覧になった方もあるかもしれません。
さて、まだまだ暑さの厳しい今日このごろですが、暦の上ではもう秋のはじまり。二十四節気では立秋です。そう言われてみれば、最近、日暮れも少し早くなり、雲の形も変わってきたような気がする。日中は、眩しい日差しに目がくらみそうな毎日ですが、たしかに季節は巡っています。

日本の夏と秋のちょうど境にあるのが、お盆です。ご先祖をお迎えする行事のあり方は土地ごとにさまざま。都市部のスーパーの店先に並ぶお供え物の種類にも、その多様さを見て取れます。

蓮の葉は、お盆のお供えものを載せる器としても使われます。蓮の葉に刻んだキュウリやナスを乗せた「水の子」というお供えは、自分たちの先祖だけでなく、無縁仏も一緒にお迎えしようという心遣い。風習を紐解いてみると、脈々と受け継がれてきたやさしさに触れることができます。

夜の川面をゆらゆらと、灯籠流しの火が照らす幻想的な風景や、浴衣の柄が色とりどりに交わる盆踊り。暗闇のなかに、色や模様が映えるのも、この時期ならではの楽しみのひとつ。
幡のかやワンピースのシリーズにも、新しい模様が仲間入りしました。

麻の雑貨でも好評の「キノミ」のプリントは、大小さまざまな実のような丸をちりばめたテキスタイル。総柄でも主張しすぎず、さりげなく模様を楽しめます。
表地は生地の上からプリントを施しているので、従来のかや生地よりも縮みが小さく、洗いを重ねても少しシャリ感が残ります。サラサラとした手触りが、夏場には、心地よく感じられます。無地の裏地と二重仕立てになっているので、肌に触れる面はかや特有の柔らかさ。

透け感のある生地なので、インナーが必要ですが、組み合わせ次第でさまざまな楽しみ方ができます。
ワンピースタイプのインナーの上からスッキリまとめたり、パンツと合わせてカジュアルに見せたり。夏場はもちろんのこと、秋口にはカーディガンや長袖のTシャツなどに合わせて楽しむこともできます。別の無地アイテムと合わせることで、模様がいっそう引き立って見えます。

ストンとまっすぐなシルエットに見えますが、裾がフレアになっていて、印象も柔らかめ。

色は全部で3色。好きな色を選んで、残りの夏を楽しんでください。きっと重宝していただけると思います。


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