こよみと暮らす

こよみと暮らす 第五回『小満』

ちょうど5月の連休のころでしょうか。さらさらと風に流れる藤の花、かなり高いところをそよいでいるように見えます。撮影されたのは、奈良公園。東大寺や興福寺など歴史の教科書でも馴染み深いお寺があり、鹿たちがのんびり過ごしている。修学旅行を思い出す人もいるかもしれません。その一角にある春日大社は、藤の名所でもあります。藤棚から地面に届くほど房の長い「砂ずりの藤」をはじめ、20品種もの藤が栽培されています。 ...
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こよみと暮らす 第四回『立夏』

少し前まで、柔らかく淡い色味をしていた木々の葉も、しっかりと緑が濃くなり、厚みも増して。道を歩けばサワサワと街路樹の葉が揺れる音がする。仕事中、草刈機の音が気になり締めていた窓を開けると、風と一緒に刈ったばかりの草の匂いが届きました。夏は来ぬ、立夏です。奈良県南部、吉野の山々も、冬はしんと眠ったような雰囲気だったのに、今ごろは彩りを取り戻し、新緑がモクモクと立ち上がってくるかのよう。 ...
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こよみと暮らす 第三回『穀雨』

春先に花をつける白山吹の花。ヤマブキと言うと、色の名前としても知られる黄色い花が思い浮かびますが、この「白山吹」と「山吹」は花弁の数なども異なる、別属の植物なのだそう。年度も明けて一段落した今日このごろ、新生活の疲れが出ていませんか。ちょっと一息、お茶を入れて、休憩にしましょうか。週末の天気がすぐれないときは、「まあ、無理せず家で休め」というメッセージなのかもしれません。 …
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こよみと暮らす 第二回『清明』

するすると滑らかな水の流れが、草を湿らせて下っていく。やがて吉野川に注ぐこの水流は、「象(さき)の小川」と呼ばれ、万葉の歌人も歌に詠んだとか。さて、季節は春。二十四節気では清明です。その意味を紐解いてみると、「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とあります。つまりは、自然界のものたちが春先の清らかな空気のなかで、生き生きと活動してはじめる季節。たしかに、野の花や草もピンとみずみずしくなって、タンポポ、菜の花、目に飛び込んでくる色の種類も豊富になってきました。...
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こよみと暮らす 第一回『春分』

奈良県・宇陀市。大きな山を背景に、大きく枝垂れて咲く桜。鮮やかな桃の並木のなか一本でひときわ存在感を示すこの桜は、樹齢約300年。この地にゆかりの戦国武将から「又兵衛桜」と名付けられています。そんな歴史背景を知るとなおさら、石垣の舞台から乗り出すように咲くその姿に、なんだか芝居のクライマックシーンのような迫力を感じます。そんな春の一場面。撮影したのは、井上企画・幡の創業者である、写真家の井上博道(はくどう)です。 ...
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